
名だたる会社や自治体の職員の襟に「SDGs」のピンバッチがつき、名刺にもロゴが刷られている昨今の日本です。
SDGs(持続可能な開発目標)とは、国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲げられた17の目標と169のターゲットのこと。貧困や平和、環境などの定められた目標に全世界で挑戦することで「誰ひとり取り残さない」社会を実現しようとする壮大な取組です。
1972年の国連人間環境会議に端を発し1992年ブラジル・リオでの地球サミットへと連なる「環境」の流れと、2000年の国連ミレニアムサミットでのミレニアム目標(MDGs)からの「平和・人権」の流れが合流し、2015年の国連サミットで採択された2030アジェンダとして結実して生まれたのがSDGsです。
最近の流行りのようでありますが、中核をなす「持続可能な発展」の概念は、国連世界環境開発委員会(ブルントラント委員会)が1987年に作成した報告書“Our Common Future”(我ら共有の未来)で提案されていたものです。環境保護・経済成長・社会的公正の三つがともに満たされる持続可能な発展をめざそうということは、すでにリオサミットで「アジェンダ21−人類の21世紀の課題−」として世界の合意となっていました。
ですから、いま日本では猫も杓子もSDGsですが、他国でも同じというわけではありません。SDGs達成度世界1位のスウェーデンでは早くも2003年に憲法に持続可能な発展の理念が書き込まれています。環境先進国ドイツでもこの言葉はほとんど聞かないと言います。比して日本の取り組みは周回遅れで、さらにはSDGsを単なる広報戦略として捉えていたり、今ある施策に冠をかぶせただけだったりという上っ面の理解のようなのが気にかかります。
私はアジェンダ21で修士論文を書いています。2001年にはスウェーデンに視察に行って違いを目の当たりにしたこともあり、日本では事の本質の理解が欠けたまま形だけ取り繕うような動きが多いことを残念に思っていました。
それでも今、真っ向からSDGsに取り組むことは、組織や地域を大きく変えていく駆動力になることは間違いありません。
SDGsが意義深いと私が考える理由の一つが、未来のビジョンを先に示していることです。多くの人や組織は通常、次の展開を考える際に現状の問題点から出発して積み上げていく「フォアキャスティング」の手法をとります。この方法では当初の目的を見失い、行きたかったはずのところにたどり着けない事態がしばしば起こります。VUCA*と呼ばれる予測不能な現代においては、行き着きたいゴールを前に設定し、そこに至るために何をすべきかを考える「バックキャスティング」の考え方が欠かせません。
事業者にとって、世界の幸せというこれらのゴールを実現するために私たちはどんな役割を果たすべきかと考えることは、これまでのCSRの取り組みを一変させ、違う次元へと進められる可能性があります。地方自治体にとっても同様です。
とはいえ、まだまだSDGsは余裕のある大企業のもの、中小零細や地方のまちはそんなことには縁遠く意識にものぼらない、あるいは必要と思ってもどうすればよいかわからないという現状もあります。
その取り組みを支援するため、会員として参加する「滋賀グリーン活動ネットワーク(SGN)」(2019年に滋賀グリーン購入ネットワークから改称)が20周年記念として企画した、SDGs連続講座「これならできる!ここならできる! SDGs」が、2019年8月から12月に開催されました。こちらの全体企画に関わり、第2部のSDGs実践・交流塾「中小企業が経営にSDGsを落とし込むには?」の企画進行を務めました。
これからブログにて、第1部セミナーと第2部の塾の詳細について報告していきます。
講座の全体像はこちら。(ちなみに広報文は私が書きました)。
*VUCA(ブーカ)
Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)の頭文字から取った言葉。将来予測が困難な現代は、VUCAの時代と言われる。
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