2015年初に交野みどりネット(交野市環境基本計画推進会議)の事務局スタッフとしてブログに連載していた協働に関する記事(12回シリーズ)を、こちらに転載しています。
こんにちは。
事務局のミナミムラです。
突然ですが、3月末をもって退職することになりました。
この1カ月半ほど、仕事の収束や引き継ぎに手を取られ、
更新できないままに最終日となってしまいました。
そこで、初心に戻り、そもそも協働、パートナーシップという考え方が
どうして交野市環境基本計画に盛り込まれているのかという話で
締めくくりたいと思います。
“環境”という問題は複雑なものです。
誰か悪いやつがいて支障が起こっているようなものではなく、
みんなが幸せを求めて普通に暮らしていることが
社会を悪い方向へ導いてしまっているのですから、
これをすればうまくいく!というような解決策はありません。
また、都市化や人間関係の希薄化、グローバル化などが進むにつれ、
地域コミュニティが自律的にそこの問題を解決できていた時代は過ぎました。
そして、これまで家庭や地域の中で隠れていた問題も顕在化し、
行政が市民のためにがんばって何もかもをこなせる時代も終わりました。
そこで注目されてきたのが、協働=パートナーシップという概念です。
地域や社会問題に現場で向き合っている市民や団体や事業者と、
行政とが協力して一緒に取り組むことで、単独では解決することが
できなかったことを解決していこうというものです。
なぜ、各々のセクターが単独で取り組むよりもよいのか。
違うもの同士が手を組めば、それぞれが別々に取り組むときとは違い、
相乗効果が上がるからです。
ですから、仮に一緒にやっていたとしても、
役割“分断”でただの足し算にしかなっていないものは、
協働として成功したとは言えません。
かけ算となって、答えが無限大に大きくなっていくのが、
パートナーシップを組む意味です。
かけ算ですから、1に1をかけたのでは、答えは1にしかなりません。
市民や事業者と行政とが、それぞれ1の力を出すのではなく、
相手との付き合いの中で、自分の枠を少し踏み越えてがんばってみる。
互いにクロスするところが出てくると、
思っても見なかった大きな力が生まれてきます。
それをめざして、交野市環境基本計画はつくられました。
だから、計画の推進を、協働で行おうとしているのです。
とはいえ、違う文化のもの同士が一緒に取り組むことは
とても難しいものです。
わかりあえる行政の人間だけでやった方が早いし楽ちんだ、という
考え方の行政職員の方も多いことでしょう。
でもね、同質のものと一緒にやる事業は、せいぜいその程度の結果
しか生むことはできません。
異質なものと組むと、手間はかかるし、混乱はあるし、
そりゃあめんどくさいものです。しかし、そのぶんだけ、
想定外の結果を生み出す可能性があるのです。
ひとつ例を挙げてみましょう。
再生可能エネルギーを地域に導入するということについて。
山梨県都留市では、市内に小水力発電機を設置するにあたって、
“市民参加型ミニ公募債”を用いて、“市民共同発電所”という
手法を採りました。
行政の独自予算だけでも設置は可能だったそうですが、
市民と一緒に取り組むという道を選択されたのです。
結果として市民の関心が高まり、ごみのない川になったほか、
地元の大学や高校が水力発電の実験や研究を行ったり、
市民グループが水力で明かりを灯すなどの取り組みへと
広がっていったのだとか。
もしも行政だけで取り組んでいたのだとしたら、
そこで発電する電力量以上の効果はなかったでしょう。
それが市民参加を取り入れたことで、波及的に効果が広がっていったのです。
これが、相乗効果というものです。
→ 都留市「つるのおんがえし債」
終わりに、みどりネットの事務所に貼り出している言葉を紹介します。
早く行きたいなら、ひとりで行け。
遠くへ行きたいなら、みんなで行け。
今年新年号の「THE BIG ISSUE」(254号)で見つけました。
アフリカのことわざだそうです。
(ちなみに、ビッグイシュー109号にミナミムラさん、載せてもらっておりますよ)。
そう、私たちは、みんなで、遠くに、行きたいのです。
ほしいのは、行政だけで出すような、チープな答えではありません。
パートナーシップを原則とした交野市環境基本計画は、そのための仕組みです。
それを生かすも殺すも、市民と行政の関係性しだいです。
互いが協力し、学び合いながら、協働の作法を身につけ、
交野市環境基本計画のビジョンに近づいていくことを願ってやみません。
(交野みどりネット事務局 ミナミムラタズエ)
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